2024.10.30 社内報制作の基礎
よく目にする「社内報コンサルティング」とは、具体的にはどのような内容なのでしょうか。社内報改善に向けた機運が職場内で高まっているのですが、毎号の制作に追われており、まだ手が付けられていない状況です。この機会にコンサルティングサービスを活用することも視野に検討したいと思っています。
「社内報コンサルティング」はさまざまな企業がサービス提供していますが、その内実は分かりにくい部分もあるかと思います。コンサルティングをご要望の担当者の方に向けて、太平社では「課題整理ワークショップ」というスキームを用いて、お手伝いさせていただいています。創業から約80年の間にさまざまな課題と向き合いお客様に伴走してきた中で、現時点でたどり着いた手法です。その具体的な内容や考え方についてご紹介します。
目次
「社内報コンサルティング」というと、いくつかの評価項目ごとに数値化する「社内報診断」をイメージされる方も多いのではないでしょうか。太平社も10年ほど前に「社内報診断サービス」を提供していたことがありました。当時の経験も踏まえ、太平社が向き合うべき本質的な課題は、一般的に理想とされる社内報像と現状とのギャップをチャートで示したものとは別にあるのではないかと考えるようになりました。
最近でもお客様から、「一般的な理想像と比較した社内報の評価には、少し違和感がある」といった声を聞くことがあります。たしかに、社内報のあるべき姿は、その企業が置かれた状況や従業員と会社の関係、社内報の制作環境などによって変化していくものでしょう。そこで、企業ごとに社内報制作を取り巻く現状を丁寧に整理しながら、その企業が抱える本質的な課題や理想像を考える「課題整理ワークショップ」への要望に応える機会が多くなり、現在のスキームが構築されていきました。
さまざまな企業の社内報を見てきた編集ディレクターが社内報誌面を見ると、「もっとこうした方が伝わる誌面になるのに」と勝手に妄想を広げることはよくあります。一方で経験を積むほど「このような誌面になった裏には、いろいろな事情があったのだろう」ということにも察しがつくようになってきます。
社内報制作の改善に向けて、私たちが寄り添うべきなのは、「いろいろな事情」に日々対峙している社内報担当者です。「いろいろな事情」を担当者と一緒に抱えながら、上手に乗り越えていくためのサポートをするのが太平社。それは、社内報誌面や簡単なアンケートだけでは、リアルに見えてこない部分なのです。そこで必要だと感じているのが、太平社の編集ディレクターがファシリテーターとなって実施する課題整理ワークショップです。
各社ごとの現状と理想のギャップを明確にし、解決すべき問題を特定していくワークショップでは、参加者みんなで「なぜ」を繰り返していきます。アンケートでは、論理的にきれいに整えられた回答でも、ワークショップにおいてみんなで課題を深堀していくと、本音が現れるものです。さまざまな社内報制作の現場を見てきた編集ディレクターという外部の視点が入り、意見を投げかける壁になることで、制作メンバーや発行責任者の課題感や思いをあぶりだしていきます。
課題整理のためのコンサルティング手法には一般的に、「SWOT分析」「ギャップ分析」「KL法」などがあり、少し小難しそうな印象を持たれる方も多いでしょう。一方、太平社の課題整理ワークショップでは、そういった手法を踏まえつつも、難しい言葉を使わずに、誰でも気軽に参加できるものにしています。編集ディレクターと一緒に、普段感じていることや目指したい社内報制作についてざっくばらんに会話するイメージです。
抱える課題や状況に合わせて、いくつかの入口を設定しています。例えば、「もっと読まれる社内報誌面にしたい」「誌面がマンネリ化してきたのでリニューアルを実施したい」「新しい経営計画が発表されるので社内報の内容を見直したい」という場合。いわば、企画やデザインについて課題がある場合は、下記のような項目から会話をはじめていきます。
このような会話を広げながら、「なぜそう思うのか」をみんなで深堀していくと、現在の本質的な課題が少しずつ見えてきます。そこから、いま必要とされる企画や、どんなデザイントーンで見せていくべきかの演出面も、納得感のある共通認識が形成されていきます。企画やデザインなどの「社内報の課題」は、少し視野を広げて「会社の課題」として会話を進めることがポイントといえます。
コロナ禍に入る頃から業界内でWeb社内報の売込み合戦が加速した背景もあってか、社内報のWeb版と冊子版のメディア戦略についての相談が急増しました。Web版・冊子版とそれぞれに特徴があるので、「最近のトレンドだから」という理由だけで飛びついてしまうのは注意が必要です。「課題整理ワークショップ」では、それぞれのメディア特性を示しながら、企業ごとのメディア活用の現状を整理していきます。
このようなテーマに沿ってお話を伺いながら、その企業の実態にふさわしいコミュニケーション設計とは何かを整理していきます。製造業などの場合は、社用PCやスマホで会社からの情報を休憩中やプライベートな時間に閲覧することは現実的ではないというケースが多くあります。一方で、自分たちの拠点が掲載されると喜んで読んでもらえる傾向も。それぞれの状況に合わせてメディアを育てていくために、どのメディアで、どんな内容を意識的に掲載していくかというコミュニケーション設計を立てていきます。
そのような会話を展開していくと、社内広報全体の中の社内報の立ち位置について、共通の認識が自然と形成されていきます。そこから生まれる社内報の編集方針は、ただの飾りではない、常に立ち返りたくなる編集方針になるはずです。
社内報制作のコンサルティングにおいて最も重要なのが、自社の社内報制作の理想像が本当に実現できるのかという点です。課題を整理して、目指すべき目標を設定したところで、あとは「頑張ろう!」では非常にもったいない。社内報制作の課題の大半は、この後の「実行フェーズ」にあるのです。
上記のような項目を中心に制作工程に沿って会話をしていくと、目指す誌面を作りたくてもできなかった本当の理由や、過度な作業負担が原因で時間が割けず諦めてしまっていたポイントなど、本質的な課題が出てきます。
広報ツール制作の専門会社として、太平社が強みとしているポイントの一つが、まさにこの部分。社内報担当者にとって、もっとも苦労やストレスの多い実行フェーズにおいて、丁寧に伴走しながら、理想的な社内報制作の実現にコミットしたいと考えています。
社内報担当者の抱えた課題に合わせて、上記のようなスキームをアレンジしながら、課題整理ワークショップを実施しています。課題の内容などにもよりますが、所要時間は約90分からとイメージしていただければと思います。課題の本質に迫るには、十分に時間をかけることも大事なのです。状況に応じて、ホワイトボードやポストイット、プロジェクターなどを使いながら、参加メンバーの思いを見える化していきます。
ワークショップでは立場の違う多様な意見を取り入れるために、担当者だけでなく発行責任者なども含めたチームメンバーで参加いただくことをお勧めしています。上長と担当者が普段あまり交換しない細かな課題やお互いの考えを知ることだけでも、今後の仕事が進めやすくなるはずですので、どうぞ太平社を利用してください。
社内報の見直しや周年の節目に合わせたリニューアル、社内報担当者の新任時など、改善に向けてどのように動き始めたらよいか困った際には、お気軽に太平社の課題整理ワークショップを活用してみてください。
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