2024.09.10 社内報制作の基礎
社内報の誌面改善や制作方法の見直しのために、複数の制作会社からご提案いただき、改善策や新パートナーを選定するコンペを考えています。せっかくの機会ですので、社内報制作の改善が加速するようなコンペにしたいのですが、これまでと同じ方法でコンペをするだけでいいのか迷っています。参考までに他社などの一般的なコンペの進め方も踏まえ、より良いコンペの手法や押さえるべきポイントがあれば教えてください。
社内報コンペへの参加依頼を頂き、これまで多くのご提案をさせていただきましたが、実にさまざまなコンペの進め方がありました。企業ごとにこれまでの慣習を踏まえ、自社独自の進め方で毎回開催されている企業が多いように感じます。さまざまな企業からコンペ参加依頼を受けてきた制作会社の立場から、改善に向けてより良い提案を受けるために、押さえるべきポイントを10にまとめました。
目次
パートナーとなる社内報制作会社を選定するコンペの場合、現パートナーへの事前相談、コンペのための準備と開催、新パートナーと制作するリニューアル1号目の準備など、それなりの期間が必要です。ゆとりを持ってリニューアル号発行日の約半年前にコンペ参加企業へ提案を依頼するケースが一般的です。
新パートナーと制作する1号目は、節目となる1月や4月に発行される号とすることが多く、例えば、4月号の場合は、10月頃にコンペ参加企業へ依頼することになります。
コンペに参加してもらう社内報制作会社の数は、多ければいいというものでもありません。これまでの経験から、3社から多くても5社くらいでコンペを実施するのが一般的です。
あまりに参加企業が多過ぎると、この後に解説する、コンペ開催に伴う参加企業への対応連絡なども煩雑になりますし、業者選定の比較検討も複雑になり過ぎる可能性もあります。
社内報の内容や作り方、予算、または現パートナーの参加の有無などにもよりますが、あまりに参加企業が多過ぎると、コンペ参加企業の対応にマイナスの影響を与える可能性も懸念されます。
社内報コンペによって「社内報制作の改善」を成功させるには、現状の課題を整理し、認識をメンバー内で共有しておくことがなにより不可欠です。コンペが始まってしまえば、社内報のプロたちによるさまざまな提案によって、当初は思ってもいなかったポイントに引っ張られ、何のためのコンペなのか目的を見失ってしまうこともありますので注意しましょう。
上記のような課題からコンペ開催に至るケースが多いです。これらの課題が複雑に絡み合った状態であることも多いのですが、事前に課題を整理し、本当にパートナーを変更すれば解決する課題なのかも含めて、関係メンバーで検討する機会を持ちましょう。
「コンペの目的」が明確になれば、選定基準もおのずと決まってきます。選定基準を項目ごとに点数化し、複数人で採点した合計得点で、公正にパートナーを決定するというケースもあります。
提案してもらう内容も選定基準に沿ったものにしましょう。「冊子版とWEB版の運用方法の見直し」が課題であれば、現状の運用方法を公開したうえで、何に課題を感じているのかを伝え、それを解決するための、運用戦略や計画、運用サポート体制などを中心に提案してもらいます。
「社内報担当者の作業負担の適正化」であれば、現状の作業内容やワークフローを共有したうえで、負担軽減につながるサポート内容や制作方法を提案してもらいます。
難しいのが、「企画デザインのマンネリを解消」という課題。この場合は、テーマを設定して、誌面サンプルを提案してもらうことになりますが、社内報制作会社としては、「いかようにも作れる」というのが正直なところです。誌面サンプルだけを見て、デザイン力や企画力を判断するのは至難の業で、見る人の好みだけで判断してしまうケースも多いように見受けられます。
コンペに参加してもらいたい制作会社候補の目途がついたら、正式にコンペ参加を依頼する前に、一度面談をしておきましょう。制作会社ごとのサービス内容や実績はもちろん、対応の雰囲気を感じることもとても重要です。
制作会社側もいきなり「コンペに参加していただけますか?」とお付き合いのなかった企業から連絡が来るよりも、お互いのことを一度紹介し合ったうえで、正式に依頼された方が、コンペに参加するか否かをきちんと判断したうえで、対応できます。
提案依頼書(オリエンテーションシート/RFP)がまだ完成していなくても、コンペ開催が確定したら、「RFPは〇日頃に送付できますが、このようなスケジュールでコンペ参加依頼のご相談をしたいと思っています」と伝えておきましょう。
社内報コンペに向けて、課題を整理する際のポイントは、「経営視点での課題」と「制作メンバーが現場で感じる課題」の両方の視点によるものを共有すること。どちらか片方だけでは、理想論になったり、本質が抜け落ちたりしてしまうことが多いです。提案依頼書には書きづらい、伝わりにくい本音も理解してもらうのがポイントです。
これまでどのような工程を踏みながら、社内報が制作していたのか、そのワークフローを共有するようにしましょう。その時に、「誰が何をどこまで準備しているのか」「どのタイミングで誰が確認しているのか」なるべく細かく伝えることで、本質的で具体的な改善提案につながるでしょう。
コンペを開催して改善の提案をもらっても、まったく予算が合わないと無駄になってしまいます。事前に予算感を伝えたうえで、現実的な提案をしてもらうようにしましょう。予算内でできることで比較検討したいのか、予算を超えたサービスでも検討の余地があるのかも伝えると良いでしょう。
目指す社内報誌面について「もっと読みたくなる見せ方に」「若手社員にも読まれるセンスあるデザイン」という表現が飛び交うことも多いのではないでしょうか。同じ言葉でもイメージするものは人それぞれで難しいもの。もしいつも参考にしている他社事例や雑誌サンプルなどがあれば、それを見せるのも一つの手です。「そのイメージに縛られず、自由に提案してもらったほうがいいのでは」という心配は無用です。目指したい方向性があるのなら、それをしっかり共有したうえ、それを踏まえた上でのクリエイティブ提案に期待しましょう。
社内報制作コンペの提案依頼書(オリエンテーションシート/RFP)では、社内報の概要はもちろん、コンペの目的や要件、選定基準を明確にし、社内報制作会社が適切な提案を行えるようにすることが大切です。以下に、典型的な提案依頼書の掲載項目を挙げます。
各社からのプレゼンを終え、提案書を受け取ったら、再度、コンペの目的や選定基準に立ち返り、新たなパートナーとなる1社を決めることになります。比較検討する際に、不明な点や交渉したいポイントが出てきたら、遠慮なく問い合わせるようにしましょう。
新たなパートナーの選定ができたら、その制作会社に連絡を入れ、選定理由をしっかり伝えましょう。どのポイントを評価し、何を期待して選定したのかを明確に伝えることで、これから一緒に社内報制作をしていくにあたってのモチベーションや制作会社として果たす役割の認識共有にもつながるでしょう。
パートナーとして選定されなかった制作会社にも、結果を丁寧に説明しましょう。新パートナーとなった制作会社を選定した理由、他社と比較検討したうえでの評価をきちんと説明することは、フェアでオープンな関係を築くうえでも大切にしたい企業姿勢と言えるでしょう。
社内報コンペで制作会社からより良い提案を受けるためには、正直な情報開示がとても大切です。「あるべき社内報制作の理想像」は企業ごとにまったく異なります。誤解を恐れずに言えば、制作会社だけではその理想像へたどり着くことはできません。
社内報制作の現状について「正直な気持ち」「それぞれの立場で感じるそれぞれの課題感」「どうしても変えられない社内事情」など、社外の人には恥ずかしくて見せたくない部分もぜひこの機会に共有しましょう。
ただ「自由にご提案ください」とアイデアを多く集めるだけのコンペでは、なかなか制作会社の本気の提案を受けることは難しいでしょう。公平で正直な情報共有を頂ける社内報担当者からのご相談には、「何とか力になって、一緒に改善していきたい」と考えるのがプロの社内報制作会社です。
いかがでしたか? 社内報制作コンペの成功に向けて、上記の10のポイントが少しでも参考になれば幸いです。そのほかに、社内報リニューアルや制作会社選びに関連した記事を下記にご紹介します。あわせて参考にしてみてください。
関連リンク 社内報リニューアル 制作会社の選び方・活かし方社内報リニューアルを検討される担当者にお伝えしたいリニューアルの進め方、制作会社と上手に協働するためのポイントを紹介。
関連リンク 社内報制作サービスガイドブック長年、多くの企業の社内報制作をサポートしてきた太平社が持つノウハウを提供し、社内報担当者の皆さんのお役に立てるよう、資料を公開します。
社内報制作に関するご相談やコンペ参加依頼についてはこちらから