2022.08.03 2023.04.25更新 社内報制作の基礎
誌面のイメージづくりは、手を動かすことから。多くの気付きが得られます。
目次
社内報制作に携わる中で、課題となりやすい誌面のデザイン。実際に作業をするのは制作会社やデザイン会社ですが、なかなか自分の思った通りのデザインにならないと感じる社内報ご担当者も多いのではないでしょうか。
自分のイメージ通りのデザインに近づける一番のコツは、誌面の具体的な図(ラフ)を作成し、制作会社やデザイン会社に共有すること。しかし、誌面の中で社員(読者)にどんなことを伝えたいか、テーマは決まっても、ラフに落とし込むのは、なかなか難しいものです。伝えたいことが絞りきれなかったり、逆に、いいアイデアが浮かんでこなかったり…。そんなときは、〝とりあえず〟「手を動かしてみる」ことが大切となります。
まずは、誌面と縦横比を合わせた長方形を白い紙に描きましょう。紙は大きめ、できれば実寸がベストです。次に、仮タイトル、メイン写真のイメージや大きさ、盛り込みたい項目を、あなたが置きたい場所に、言葉(キーワード)や図形(○△□など)で記していきます。
手を動かしてキーワードなどの取捨選択を繰り返しているうちに、優先順位の高い項目や並列で伝えたい要素が少しずつ見えてきます。慣れてくると、誌面のバランスや項目の漏れなどにも気付くことができるようになります。
ラフは気軽に描き始めるのがポイント。2、3回描き直して完成させればOKです。アイデアは頭の中だけで考えず、〝とりあえず〟手や目(視覚)を使って膨らませていきましょう。
まずは見開き内のバランスを確認! 文字が多過ぎないか、最も伝えたいことが目立っているかなどを確かめましょう。特集などページが多い場合は、見開きごとの変化や統一感なども併せて確認を。
ラフはあなたのためだけにつくるのではありません。むしろ、制作スタッフと共有するのが目的です。ラフがあれば、言葉だけよりも思いを伝えるのが簡単!打ち合わせのときの最も大事な資料になります。
これまで頭の中にしかなかったイメージが、ラフによって具体的な絵で見えるようになります。すると、入れるべき要素で、重複している内容や不足している項目が具体的に「見える化」してきます。
ラフによって、撮影時の注意点も見えてきます。写真の縦横比や、タイトル文字を載せるために空白をつくっておくべき箇所など。カメラマンに撮影を依頼するときには、事前にラフを見せて説明しましょう。
ラフに沿った素材がそろったら、次は入稿(デザイン依頼)作業に移ります。入稿とは、デザイナーに原稿を渡す(入れる)こと。後日、誌面に印刷されるイメージが、ゲラ(印刷見本)という形で返ってきます。
入稿時に大切なのは、あなたがそのページで何を社員(読者)に伝えたいか。伝えたい思いを文字に(視覚化)してデザイナーと共有するのも一案です。デザイナーは、あなたが伝えたい要素の優先順位などに応じて誌面を整理していきます。伝えたい内容が不明確だと、デザイナーも腕を発揮しきれません。そうなると、何を伝えたいかが曖昧な誌面になります。入稿前には企画時の原点に立ち返り、何のための企画か再確認しましょう。
デザイナーに渡すものは、ラフ、写真(PH)&イラスト、テキストなど。初回入稿時には、冊子全体のページ割(台割)も渡してください。
ラフは、実際の誌面と同じ大きさで作成するのがオススメです。文字数に応じた必要なスペースも(文字の大きさを変更しない場合)、バックナンバーを参考にラフへ反映させましょう。ゲラが出てきたときの「イメージ違い」を減らせます。
まずは「細部」よりも「全体」から。依頼するページが冊子内でどんな位置付けになっているかなども伝えておきましょう。
大まかなデザインイメージを書いたものが「ラフ」。いわば「設計図」になります。写真の大きさや位置なども伝えます。
人物の表情が豊か、明るい、構図が面白いなど、目を引く写真を優先しましょう。ページ全体が明るく、楽しい雰囲気になります。
社内報に使う写真でも、できればプロのフォトグラファーに依頼して写真を撮影できると、誌面のクオリティを上げることができます。しかし毎回プロに依頼して取材・撮影をすることは費用的にも難しく、社内報ご担当者自身で写真撮影する機会も多くあるはずです。太平社では定期的に社内報ご担当者に向けた撮影ワークショップを開いていますので、ご興味のある方はぜひワークショップのページもご覧ください。また、コラムには「初心者でも失敗しない写真が撮れる! 一眼レフカメラの基礎・基本ワークショップ 開催レポート」や「スマホでも制作で使える写真が撮れる!スマホカメラ撮影ワークショップ 開催レポート」、写真撮影前にカメラの使い方やポイントを確認できる「写真撮影Tips」といった記事も掲載しています。良い写真がたくさん掲載された、読まれる社内報を目指しましょう。
写真同様、テキストの各項目(タイトルや小見出しなど)がラフのどこに入るか一目で分かるようにしておいてください。
市販の雑誌などで、見せ方(ビジュアル)の参考にしたいものがあれば、それも一緒にデザイナーに見せましょう。「ラフのこの部分をこんな感じでまとめたい。色のトーンをこんな雰囲気にしたい」など。そっくり載せるような使用はもちろんNG。注意しましょう。
見せ方のイメージは、なるべく図で伝えましょう。例えば、「爽やかな」ページにしたい場合、 「こんな色使いでどうですか?」と見本誌を示せば伝わるはず。言葉だけでは、あなたが考える「爽やか」とデザイナーの「爽やか」が一致するのはまれです。一方、編集コンセプトや伝えたい思いは、文字化しておくのがオススメです。
コラム「社内報の企画に必要な情報集めは「広く×深く」」では、企画のための情報収集のコツをご紹介していますが、誌面のデザインやレイアウトのアイデアを集めることも社内報制作に必要な情報収集です。他の会社がどのような社内報を制作しているのか調査したり、市販の雑誌を読む中で「今度社内報でこんなデザインにしてみたいな」と考えてみたりすることで、デザインのアイデアストックを増やしていきましょう。また、ラフづくりに慣れていない場合は、他の雑誌や誌面をラフにした場合どのようになるのか、自分で描いてみるのもオススメです。読みやすい文字の量や大きさ、写真の使い方など、多くの気づきがあるはずです。