2022.06.01 社内報制作の基礎
著作権・肖像権などの理解が、社内報制作には欠かせません。
目次
著名人などが、自身の肖像や名前が持つ顧客吸引力などの経済的価値を排他的に利用できる権利。
著作物を当初の利用目的とは異なる媒体に転載、再利用すること。
思想・感情を創作的に表現したもの(写真、文章など=著作物)の利用について独占的に支配する財産的権利。
顔や姿を他人に勝手に撮影されたり、公表されることを拒む人格的権利
社内報担当者は日々、カメラマンやライターから写真、文章などを受け取って制作を進めます。こうした編集素材は、ほとんどすべてに著作権が発生しています。そして、著作権はこれらを創作し、表現したクリエイターにあります。
例えば、社内報に写真を掲載する場合。カメラマンは著作「物」を提供し、社内報の発行企業は対価を支払います。しかし、このときにカメラマンの著作「権」まで移転するわけではありません。写真をどの媒体でどう扱うか(位置、大きさ、トリミング方法など)を決める権利は、著作権者であるカメラマンにあります。撮影依頼時に、使用目的や使用媒体などをカメラマンに伝えるのはそのためです。
さらに写真の場合、そこに写っている人は「自分の容姿を勝手に公表されたくない。社内報はいいけどWEBサイトへの二次使用はNG」など、自分の肖像に関する扱いを決める権利、いわゆる肖像権があります。
絵や写真の一枚一枚に著作権者がいることを忘れずに。著作権者(イラストレーター、カメラマンなど)や出版社の許諾をもらうのが原則です。
本人や所属事務所による事前の承諾が必要です。有名人の肖像にはパブリシティ権があります。社内報といえども、本人や所属事務所に無断での掲載はパブリシティ権の侵害にあたります。プライバシー的な意味合いでは肖像権の侵害にも。最初の契約時に、想定される使用方法をまとめて提案し、一括して承諾を取っておくとよいですね。
発注時に示した目的以外の使用は、新たな許諾が必要です。写真はカメラマンに著作権があります。カメラマンが最初に許諾した範囲(社内報での利用)を超えて使う場合(HPでの2次使用など)には、新たな許諾が必要です。被写体人物については個人に肖像権があります。撮影時の許諾範囲を超える場合には、同様に新たな承諾を取ってください。
※ 従業員が仕事上撮影した写真は許諾が不要です(職務著作)
引用は、各条件を満たした場合、例外的に認められます。文章には著作権があります。ただし、下記を満たせば著作権者の許諾なく利用できる引用にあたります。(1)記事と引用される文章が「主」と「従」の関係にあり明確に区別され、(2)報道目的など引用の必然性がある、(3)引用の文章を変更せず、(4)引用元を明示する。
新聞記事には原則、著作権があります。自社を評価した記事が新聞に!広報担当者ならぜひ、社員に伝えたいところですね。しかし、新聞記事(写真も含む)の利用は原則として新聞社の承諾が必要です(引用の場合を除く)。また、新聞をコピー機で複製したもの、PDFでの回覧も禁じられているので注意してください(個人による私的な使用は除く)。
社内報で扱う写真や文章などの一つ一つには、法律や多くの人の権利が関わっています。その内容や権利者をよく理解しておきましょう。
広報担当者様向け情報誌「SHARE」のvol.5でも、「制作における法律との向き合い方」という記事を掲載しています。
著作権を専門とする弁護士の方へのインタビュー記事で、著作権についての導入として、広報担当者様にまず最初に知ってもらいたい内容が簡潔にまとまっています。
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